2010年7月19日 (月) 掲載

◎夏の夜空に大輪 函館港花火大会

 函館新聞社主催の「第14回函館港花火大会」が18日、函館市の函館港豊川ふ頭周辺をメーン会場に開かれた。夜空のキャンバス上に繰り広げられる光と音の多彩なパフォーマンスに、約6万人の来場者が酔いしれた。

 「海の日」制定を記念して、同社創刊の1997年にスタートした、函館の夏祭りのトップを切る恒例イベント。心配された雨もなく、やや蒸し暑いながらも絶好の花火日和に恵まれた。

 今年のテーマは函館港の夜景を銀幕に見立てた「星空の映画館」。第1部は壮大なファンファーレに乗せたワイドスターマインで幕開け。毎年恒例の大玉6号から10号までを紹介する「花火教室」や、ヒマワリやマーガレットが咲き誇る「はなびコレクション―可愛い花」など趣向をこらした演出で会場を沸かせた。

 第2部では、夜空にさまざまなデザインが浮かび上がる「リクエスト花火」や銘玉を集めた「全国花火紀行」などでさらなる盛り上がりを見せ、最後は陸、海、水中からの大玉が競演する「グランド・フィナーレ…そして明日へ」で華やかに幕を閉じた。

 大会の様子は「FMいるか」のパーソナリティーにより完全生中継され、花火の楽しさを分かりやすく伝えていた。(小川俊之)  



◎ギリヤークさん 魂の舞

 函館出身の国際的創作舞踊家・大道芸人、ギリヤーク尼ケ崎さん(79)の青空舞踊公演が18日、市内松風町のグリーンプラザで開かれた。ギリヤークさんは強い日差しを受けながら、鎮魂を表現する熱い踊りを披露。訪れたファンから盛大な拍手を受けた。

 ギリヤークさんの夏の函館公演は約20年前から続いている。この数年は肺気腫や心臓病を患い、以前よりは演目を減らしたものの、この日も「じょんがら一代」「よされ節」「念仏じょんがら」を披露した。おなじみの赤い長襦袢(じゅばん)姿で、地面を寝転がったりする激しい動きの中で、胸に埋められたペースメーカーが見えた観客は息をのんで見守っていた。

 終演後、ギリヤークさんは「今日は暑く、地面は40度ぐらいの熱さだったが懸命に踊りました。間もなく80歳を迎えますが、デビュー50周年となる88歳まで頑張ります。また見に来てください」とあいさつし、観客に自身の若い時代の写真などをプレゼントしていた。七飯町から訪れた主婦、石田明子さん(63)は「見ているだけでも暑いのに、年齢を感じさせない一生懸命な踊りに涙が出ました。体に気をつけてほしいです」と話していた。  (山崎純一)



◎医学部設置で活発意見

 函館市が、公立はこだて未来大学への医学部新設の可能性を審議する場として設置した「医学部設置検討懇話会」(委員10人)の初会合が18日、市内若松町のロワジールホテル函館で開かれた。会長に今井浩三・東大医科学研究所付属病院長を選出、医師不足の原因や設置した場合の教員確保などについて、活発な意見交換が行われた。

 医学部設置をめぐっては、民主党が政権公約(マニフェスト)に医学部定員を1・5倍に増加することを盛り込んでいるほか、文部科学省も6月に医学部新設の容認を検討する方針を打ち出している。市は今懇話会で設置の必要性や意義のほか、財政負担などの諸課題について有識者に検討してもらい、判断材料とする考え。 西尾正範市長は冒頭、「医学部新設は地域振興上、非常に大きな意味を持つ。よりよい方向付けが見えれば、議会や地域と相談しながら取り組みたい」とあいさつ。今井会長は「道内は広い地域を3つの医大でカバーしている。経済状況の悪化の中で、何か新しい手を打たなくてはと考えている」と述べた。

 初回は市が設置検討の取り組みや、道内の医師数の変化などを説明した上で、医師不足の要因として@過酷な労働時間A診療密度の上昇B臨床研修制度の導入C女性医師の増加―を挙げた。

 各委員からは「道立江差病院は最盛期に23人の医者がいたが、現在は13人と確保に苦労している」「国民が医療に求める質が高くなり、専門が細分化した。地域や科も特定の場所に偏在している」など、道南の地域医療の現状が説明された。 新設した場合の課題として教員の確保や、地元からの人材流出を懸念する声も多く、「研究を担う人材をどう養成するかが、地域医療と同様に重要」「作ったとしても研修医が残らなくては、医師を派遣できる態勢が整えられない」などの意見が上がった。医大教授からは、定員の中に地元出身者枠を設けて対応している事例などが示された。

 また、未来大の中島秀之学長は「IT技術を使うことで医師不足は軽減できる。今後を考えると、ITとのドッキングは重要な要素だ」と、設置の有効性を訴えた。 懇話会は年末までに2度開く予定で、次回は同大への設置が必要かどうかとともに、設置した場合の特色や機能について話し合う考え。 (千葉卓陽)



◎長万部町長に白井氏再選

 【長万部】任期満了に伴う長万部町長選挙は18日に投開票が行われ、即日開票の結果、現職の白井捷一氏(71)=無所属=が2477票を獲得、新人で会社役員の高森治光氏(67)=同=を326票差で破り2選を果たした。投票率は87.32%で、同じ顔触れによる前回2006年の町長選より3.23ポイント上回った。

 午後10時すぎ、当選の一報を受け、白井氏は本町の選挙事務所で佐藤一雄後援会長ら約150人の支持者とともに万歳を三唱。白井氏は「厳しい選挙戦だったが多くの支えに感謝したい。1期目で培った人脈などを生かし、強くて明るい長万部をつくっていきたい」と抱負を語った。

 町財政については「行政のスリム化で財政の健全化を図る。背伸びせず、このまちにあったことをしなければならない。そのためには町民の声をよく聞いて、町政を進めなければならない」とした。

 白井氏は1期目で行財政改革に取り組み、起債(借金)残高を119億円から97億円に減らした。実績と現職の強みを生かし、漁協や農協、建設協会などから推薦を受け、選挙戦を展開した。

 高森氏は「まちに活気を戻すためには町政刷新が必要」と訴え、現職への批判票を取り込んだが、得票を伸ばせなかった。大手農業法人の企業誘致による地域経済のてこ入れの政策も有権者に十分浸透しなかった。前回(239票差)に続き今回も小差で涙をのんだ。

 白井氏は、愛知県豊橋市出身。長万部双葉中卒。1995年の町議選で初当選し、2003年5月から議長を務めた。前町長の辞職に伴う06年7月の町長選に出馬し初当選した。

 当日有権者数は5349人(男性2450人、女性2899人)。       (田中陽介)



◎改正道交法施行1年…行政処分者減 免許取消増 

 昨年6月の改正道交法施行で飲酒運転の罰則が強化されたことに伴い、改正前(2008年6月−09年5月)と改正後(09年6月−10年5月)の1年間で、運転免許停止や取り消しなどの行政処分対象者が3割減少したことが道警函館方面本部運転免許課のまとめで分かった。免許停止処分が減少する一方で、取消処分が増加しており、同課は「厳罰化の効果が表れている」としている。

 飲酒運転絡みで免許の取消処分となるのは、酒酔い運転(違反点数35点、再取得までの欠格期間3年間)と、呼気1リットル中0.25ミリグラム以上のアルコールが検出された酒気帯び運転(同25点、同2年間)。同0.15ミリグラム〜0.25ミリグラムのアルコールが検出された場合には、違反点数は13点で90日間の免許停止となる。累積の違反点数や、飲酒以外の違反が加算されると、さらに重い処分となる。

 同課のまとめでは、改正前1年間の処分件数は131件だったが、改正後は92件に減少。このうち、免許停止処分件数は改正後に67件減少したのに対し、取消処分者は28件増の61件となった。取消処分では、欠格期間2年間が39件と最も多かった。

 さらに、悪質、危険な違反として規定された「特定違反行為」(運転殺人、危険運転致死傷など)のうち、ひき逃げ(救護義務違反)は、欠格期間が1年(違反点数23点)から3年(同35点)に強化された。改正後の処分件数は8件増の14件で、特に悪質な事例では、飲酒運転中にひき逃げしたとして、欠格期間8年間の処分が2件、同9年間が1件あった。

 同課の阿部研二次席は「飲酒運転がなくなったわけではないが、罰則の強化により、行政処分者は減少した。法改正の効果とみている」と話している。 (今井正一)